●●● 第4章 花屋修業時代大阪編
47回 [セリ]
市場に行った3回目、
それが、セリのデビューになりました。
セリ人用の、数字の書いてある帽子をかぶって
花をセリ落としていくのです。
キチンと教えて貰ったわけではありません。
見よう見まねで、やり始めました。
分からないところは、周りのおじさんに聞けば教えてくれます。
今では、セリも「機械式」になっていて
「結構誰でも買えるかも‥」 とも、思えるのですが、
昔の「手ゼリ」では、そうもいきません。
「花の相場」が分かって無いと、
つまり、花の値段が分からないと手も出せません。
又、機械の場合は、
買うボタンを押した順番で、競り落とす事が出来ますが、
昔はあながちそうとも言い切れないのです。
セリ場に行くとひな壇があって、
そちらに客(花屋さん達)が座ります。
その向かい側にAからGまでの7つのレーンがあり、
7人の売り子さん達が商品を提示して
競っていくのです。
「セリ」には「符丁(フチョウ)」というものがあります。
金額を表すのに指を使うのです。
(又、値段もイロハニで表現します)
指の使い方はこんな感じです。
1は、人差し指を立て
2は、人差し指と中指
3は、中指薬指小指
4は、人差し指中指薬指小指
5は、全ての指
6は、親指
7は、親指と人差し指
8は、親指人差し指中指
9は、人差し指を曲げる
では、桁が変わったらどうするかといいますと‥
どうもしません。
千円でも、1万円でも「1は人差し指なのです。」
それが、千円なのか、1万円なのかは
セリ人には分かっているからです。
あぁ、それから500円の時
ただの500円って事は、まず無いのですが
5500円とかだと
全ての指を出してから手を振ります。
他の数字の時も同じです。
手を裏返すのです。
じゃあ、200円とか400円とかは?
そんな、半端な値付けは無いのです。
つまり、500円刻みになるのです。
(昔は半端な値付けもあったそうですが)
それから、機械では無く、人間が決めるわけなので、
一斉に手が上げられた場合、
商品が10箱あって、
買いたい人間が15人居た場合、
その15人が一斉に同じ金額で手を上げた場合、どうなるかといいますと‥
売り子の判断で決められていくのです。
では、判断の基準は何かというと‥
話しが長くなったので、この続きはまた次回に。。。
<つづく>
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機械式は、誰でも買えるかも‥
って、書きましたが、「高値で買ってもよければ‥」という条件付です。
手ゼりの場合は、「競り上げ」で、欲しいのに競合がいる場合は高い値を付けて競り落とさなければいけません。
機械競りの場合は、「競り下げ」で、機械の針が落ちてきますから、自分の買いたい値段に来たらボタンを押して、競り落とします。
でも、買いたい人間が居なくても、機械の針は止まります。
これは、売り子が針の止まる場所を設定しているのですが、
売り子はちょっと高値で止まる様にしていますから、ここで買ってしまっては、「高く買いすぎた」という事になってしまうのです。
「仕入れの上手い下手が、店の利益を左右するのです。」
【仕入れの変遷】 仕入れ方法も、時代と共に移行して来ています。 |
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