波瀾万丈宮川の My Flower Story 第4章-48

 第4章 花屋修業時代大阪編 

     48回  [セリ 2]

商品が10箱あって、
買いたい人間が15人居た場合、

 

その15人が一斉に同じ金額で手を上げた場合、どうなるかといいますと‥

売り子の判断で決められていくのです。

 

 

では、判断の基準は何かというと‥

「今迄の購入度」という事になります。(基準の一例ですが)

「いつもその商品を買ってくれる人」 に商品が行くのはしょうがないですよね。

 

でもたまに、こっちの方が高く値を付けているのに

見てくれずに、買えない事もあるのです。

 

 

特にうちはビジネス街で、
「仏花」や「墓花」「榊」などを扱ってなかったので、

菊を買いたい時などは、本当に困りました。

菊の担当さんが、ユリも担当しているので、

ユリを買う時も、必死です。

 

 

だから、最初の頃は

見て貰う為に、

「立って、手を上げたりした事もありましたよ。」

めっちゃ、元気だった頃の私です。

 

「えらい、元気やなぁ~!!」 って、おっちゃん達には言われてました。

 

 

1人で仕入れに行きだして、

最初はひな壇の下から4、5段目くらいに座っていたのだけれど、
後ろのお兄さんが、「上においでよ、そこ 見ずらいやろ‥」 って、言ってくれて

1つ上の席に移動しました。
確かに見やすい!!

 

 

それから数年後に、機械競りに変更になるのですが、
私の座る場所は、この時と同じ様な位置で

中段の通路から2個目の、とっても見やすい場所なのです。

 

右端や左端だと、反対の花が見えにくいし

下段の真ん中でも、左右が見えにくい

上段だと、遠すぎて見えにくい。

ホントに、「中段の真ん中」のいい位置に座っています。

 

 

この時代の私にとって、仕入れに行くのは、とっても楽しいものでした。

セリは6時半から始まりますから、

朝は5時前には起きなければなりません。

 

神戸駅の近くに住んでいた私は

高速にのって、大阪の市場まで通っていたのでした。

 

「セリには、ワクワク感とドキドキ感があります。」

 

自分がどうしても買いたい商品に競合相手がいて、

競り合わないといけない場合には、

闘争本能が湧き上がりますが、

調子にのって、トンでもない金額で買ってしまっては
元も子も無くなってしまいます。

 

 

例えば、胡蝶蘭を買いたいとします。

いつもであればこの時期、
1箱5000円で買えるとしますね。

でも、絶対買って帰らねばならずに、

今日はセリ場に1箱しか入ってない場合。

 

取敢えず、6000円は出しますね。(7000円かもしれない)

いつもの5000円では、他にも買う人間がいるだろうからです。

だから、少し高めの6000円で出してみる。

それで買えたら、まぁ、良しとしましょう。

 

でも、他にも高値でも買って帰らないといけない人間が居た場合
競り合いになるのです。

 

相手が7000円と出してきたら、

こちらは、8000円。

すると相手が9000円。

どうしても欲しい場合は

ここで、1万円ではなく、
1万3000円か1万5000円くらいはだして、

相手を諦めさせなければなりませんが、

果たして、1万5000円の価値があるのかは
考慮しなければなりません。

そうなると、いつもの3倍の価格になってしまっているからです。

 

 

だから常に代替商品も頭に入れておかなければなりません。

 

 

機械式になった現在、
この恐ろしい競り上げ合戦は無くなったのですが、

違う意味で全体的な値段が上がってきていて、

昔であれば、年間を通して数度

「おいしい時期(かなり安い時期)」というのがあったのですが、

今では、それが無くなってしまいました。

 

 

 

セリについて、語りだしたら

ストーリーの10回分くらいにはなってしまうかも‥

と思うので、このくらいにしときましょうか。。。

 

 

とに角、面白くって、朝早いのも苦にはならなかったのでした。

     <つづく>

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正直な話、昔の競りの方が面白かったし、楽しかった。

今は、行かないで済むのなら、あんまり行きたいとは思いませんね~。

でも、ネットで購入するのには、まだまだ抵抗があります。

やっぱり、「自分の目で見て買わないと‥」と思うからです。

花にもブランドがあるのです。
例えば、バラなら○○とか、ガーベラなら××とかいう具合に。

 

但し、いっつもいいとも限らないのです。

ガーベラでもカーネーションでも熱い時期は○○産、その他の時期は△産の方がいいとか、時期でいい産地が変わる場合もありますし、
旬の時期になれば今一だった産地の商品が良くなり、良い産地との差が無くなる事もあるのです。
その境期は、目で見て判断しなければなりません。

 

それから、場に行くと、周りのおじさん達から情報を得る事も出来ます。

今の○○産のバラはどうですか?とかね。

 

楽しくなくなってきた、1つの理由に
競りに行きだした頃に、周りにいたメンバーが
1人づつ、居なくなってきたこともあります。

隣や後ろに座っていた、おっちゃん達で、
店を閉めていった人間が、もう何人居る事か。。。

亡くなった人もいますしね。。。

今月いっぱいで閉めちゃう人も、また1人。。。

周りのおっちゃん達にすると、
それが、多少羨ましかったりもするのです。

「閉める事が出来る」という事ですからね~。

大した儲けがなくても、
今更店を閉めても、お金を稼ぐ方法が他にない場合は
閉める事さえ出来ないのですから‥

そこそこ、儲けている場合はいいですけどね~。。。

なかなか花屋は、儲からないのですよ。

特に昔ながらの、とーちゃん・かーちゃん経営の店ではね。

なのに、新しい花屋(店舗)は増えて来ています。

花屋が増え過ぎて、お客の取り合いになっている事も
店じまいする花屋が増加する原因にもなっていますし、

新しく参入してくる花屋が多いせいで
花の価格が競り上げられて、仕入れ値があがり
売り上げの低い店の経営が困難になってきている事も、一因と考えられますね。

それに現代では、ネットが普及して、花を買う場所が近所の花屋さんだけとは限らなくなってしまいました。

花の産地自体がネットで売っている場合もありますし、
プリザーブドなどの普及によって、

一般の人達がプリザーブドのアレンジメントなどを作って、売れる時代になって来ているのも原因の1つになるでしょう。

これは、写真屋さんや印刷所がデジカメやパソコンの普及で仕事が減って来たのに、少し似ている部分もあるかもしれませんね。

昔であれば、仕入れて店に置いておけば、売れていった花達ですが、今はそんな訳にはいきません。

それに、本当の花屋の商売敵は花屋では、ないのです。

今や、ギフトに花以外の需要がかなり多くなって来ているのですから。。。

様々な工夫が必要になってきていて、
目の肥えた、お客様達に「満足」なものを提供しなければ、生き残れない時代になってきているのです。

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