波瀾万丈宮川の My Flower Story 第3章-32

 第3章 花屋修業時代苦悩編 

     32回  [嬉しい気持ち]

新しいお店に入ったのが12月1日。

前の店長は有給も残っていたとの事で10日くらいからは
来たり来なかったり、

来ても、ちょっと覘いてすぐ帰るって感じでした。

 

通っていたプロ養成スクールは2年目に入ったばかりだったのですが、
流石に、日曜日はお店のお休みがとれずに、通えなくなってしまったのでした。
費用は前納だったので、かなり勿体なかったのですが、仕方ありません。

 

もう1つの、アシスタントをやっていたスクールの方も辞める事になりました。

 

面接の時に、
次長から、アシスタントを続けてもいいという許可は取っていたのです。

 

しかし、新しいお店の、主婦のアルバイトの人から
クレームが出ました。

 

「店長で来ておいて、よそのスクールのアシスタントをするのは、おかしい」
と言うのです。

 

「それは、次長にも面接の時に許可を取ってあります。」
と反しましたが、

「でも、おかしいでしょ!!!」
って、言われて‥

 

続けたい気持ちはすっごくあったんですが、
そうゆう風に言う気持ちも理解出来たので、
辞める事にしたのでした。

 

 

すっごく、残念でした。。。

残念でした。

「努力の末に掴んだものだったのに‥」

「でも、しょうがないよね‥」

 

スクールの事務局に話し、12月いっぱいで辞める事になったのでした。

すぐに、後任も決まってしまいました。

 

お店も全然楽しくなくって、
辛くて辛くて、しょうがありませんでした。

 

バイトの若い女の子Kちゃんは、
明るくていい子だったんだけど

 

やっぱり主婦のAさんが、いつも喧嘩腰な感じで
一緒にいるのが苦痛なのでした。

 

家に帰っても1人だし‥

 

そんな事もあって、
お店がお休みの時は

前の、北野のお店にお手伝いに行っていたのでした。

 

 

お休みの時まで、働かなくっても って、思うでしょ?

でもね、ただ遊びに行っただけでは、長く居るのは変でしょ。
働きに行ってるんであれば、1日いれるじゃないですか~。。。

 

「私の唯一の休息日、休息場所だったのです。」

 

 

それなのに、

それなのにね、

Kちゃんには、前の店に行ってる事を、話していたのですが、
それが、Aさんの耳に入ってしまい

 

「休みの日に、他の店に働きに行ってるなんておかしい!!」
って、またまた言ってきたのです。

 

「お手伝いに行ってるだけで、ギャラとかは貰って無いんですよ。」
って、言ったんだけど、

 

「ギャラを貰ってなくたって、おかしいでしょ!!」って、言うんですよ。

 

はぁ~、これで又、前の店にも行けなくなってしまったのでした。

 

唯一幸せだったのは、この人が休みの日だったのですが。。。

 

 

流石に主婦なので、年末年始はお休みが長くって、
31日も1人でゆったりと仕事をしていたのでした。

 

するとね、
電話がかかってきたの。

北野のお店で、いつも一緒に働いていた知子さんから。。。

「宮川ちゃん、今お店?」

「これから行ってもいい?」

私 「今日は、私1人なんで、大丈夫ですよ。」

 

 

暫くすると、知子さんが来てくれました。

「宮川ちゃん、あなた、おせちなんかしないでしょ。」
「ちゃんと、食べなきゃダメだよ~」って‥

おせちを作って、来てくれたのでした(泣)

 

 

ちょっとだけ、話しをして、知子さんは帰って行きました。
年末の主婦は忙しいですものね~。。。

 

「知子さん、本当に本当に、ありがとう~。」

     <つづく>

——————————————————————————–

どんどん、強気で出てくる主婦Aさんに、大分まいっていた私でした。

40万ほどかかったプロ養成の2年目も通えなくなり、
アシスタントも辞めなければならなくなり、
北野のお店にも行きづらくなって、寂しくなっていた私の所に

やって来てくれた、知子さん。

「おせち、美味しかったです!!」
15年前の事ですが、今でも思い出すと、泣けてきます。

この知子さんの言葉で、今でも心に強く残っているものがあります。

 

この年の8月末に離婚する事になったのですが、
11月末までは北野のお店でお世話になっていました。

お店では、一応普通に振舞っていたのです。
でも、知子さんには事情は話していました。

 

或る日、ブライダルの搬入で、専務と一緒にホテルに向かっていた時でした。
専務がこう言ったのです。
「離婚したって、笑って仕事が出来るって、女は怖いな~」って。。。

そんな風に言われたって、知子さんに話した時に返ってきた言葉。

「今迄、辛い経験をしてきてる って事なのにね」
って、言ってくれたのです。
(過去の辛い経験を乗り越えて来ているから、こんな事があっても、普通に振舞っていられるのだ‥ と、私の事を理解してくれていたのでした。)

 

それを聞いて、
「あぁ~、知子さん自身も、言わないけれど、色々な事がこれまでにあったんだなぁ~」って、感じました。

 

知子さんは、自身の経験を通して
私の思いを、分かってくれていたのです。

それに対して、表面しか見る事の出来ない専務。
苦労をしらないボンボンやねんなぁ~‥ と思ったのでした。

 

◆宮川のちょっと、一言
人間、悲しい時に悲しい顔をするとは限りません。
人間、楽しい時にだけ、楽しい顔をするのでもありません。

人間の本当の心を推し量る事が出来る様になるには、
やはり、色々な経験が必要なのだと思います。

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